彼女の顔を最後に見た卒業式から10年が経った。一目惚れだったのかもしれない、教師と生徒という関係だったにもかかわらず、私は一度だけくちづけを交わしてしまった。今でも微かに残る唇の感触、彼女の事を思い出す度に胸を締め付けられる。卒業後、彼女は上京して結婚したという噂を聞いた。もう二度と逢えないかもしれない…諦めかけていたある日、同窓会で彼女と再会した。少し大人びた彼女は、さらに美しくなっていた…。

板金工場を営む佐々木夫婦は、やっと手に入れた新築マンションのローンを抱えながら懸命に働いていた。そんな矢先、親会社が倒産。取引銀行からの融資ストップ。更に、夫は事故で死去。悲劇の連鎖に襲われたあきは、多額の借金を背負いながらも愛する夫が残した板金工場だけは守りたかった。そして、資金繰りに悩むあきのもとへ投資会社に勤める吉野が訪ねてきた。吉野は、ある取引を条件にあきの負債を買い取ると言い出して…。